今回は日本製の品質の話をもう少し突っ込んで。
特に縫製部分の品質はどうなの?
という部分に触れてみたいと思います。
まず、日本製の縫製は素晴らしいという評価がありますが、
これは正確ではないと思います。その製品を作っている工場
ひいては職人さんの技術が素晴らしいのです。
日本製=素晴らしい
ではないということですね。
同じことがイタリア製=素晴らしいなどにも言えます。
日本製でも始末の悪い製品はありますし、
イタリア製でもステッチの曲がったブランドシャツもあります。
結局人の手ですから。
トップクラスの縫製技術や設備は中国にもありますし、
日本のトップレベルの縫製指導者は中国だけでなく東南アジア
にも行っています。
誤解を恐れずにいれば、普通に人が最高級品と感じるレベルは今や
どこでも実現しようと思えばどこでもできると思います。縫製工賃
の問題は簡単ではないですが、技術面だけであればそうだと。
これは日本製で縫製職人さん個人が縫ってくれたシャツ。
丁寧な仕事です。
これは6000円くらいのTシャツ。
これも国内縫製。
ユニクロUのTシャツ。1500円。カンボジア製。
ちょっと粗いかな、と思う場合もありますが、
大きな差は無いし、着用にはもちろん問題なしです。
ここまで来ると薄々感じて頂けるかと思いますが、
縫製のクオリティは一定以上あればほとんど差は
感じられないのです。
それよりも生地の種類やパターンの良し悪しの方
がずっと影響します。違いを感じるには知識や情報
が必要ですが、縫製に関しては大半の人が詳しくない。
(服を着る上で詳しい必要も無いです。)
だからこそ、縫製部分は誰が縫っているのかが大事で
設備や技術のすばらしさよりも丁寧であるかどうかを
重視したいと思っています。
(もちろん一定以上の品質であることは前提)
大量生産時代はどうしても縫製工賃は抑える方向に
なりました。その風向きが少し変わり、今適正工賃
を求める動きがあるのには賛成です。
理想は作り手と使い手が顔が見えていることですね。
大量生産には全く向かないので、きちんと商売にして
いくには考えるべきことがたくさんありますが。
でもそういう時代もあったのだから、やり方はあると
思い、思考をめぐらし、自分以外の作り手のサポート
にも積極的になりたいと日々行動しています。
そしてその一環で、私は日本製のなおかつ顔の見える
服を買い続けたいと思います。
ツムギラボ
タニ カヅオ